平成22年(2010年)沖縄遺骨収集奉仕活動

4月28日(水) 摩文仁清掃奉仕(準備作業)

沖縄本島最南端にある「摩文仁」は、沖縄戦の最後の激戦地であり、また悲惨な掃討戦が繰り広げられた地でもある、幾多の戦没者の血涙の染みこんだ艱難の大地だと言えるでしょう。摩文仁を含む南部戦跡一帯は、「ひめゆりの塔」に代表されるように、戦場の悲惨さを語り継ぎ、恒久平和への歴史的教訓を為さんと、戦後多くの慰霊塔が建立され、慰霊の場として、あるいは後世への平和学習の場ともなってまいりました。

しかしながら、沖縄戦戦没者の慰霊の地、恒久平和を願う人々の聖地といえるこの摩文仁が、「ゴミ捨て場」 になっているというのは、遺骨収集奉仕活動で摩文仁ジャングルに入った経験のある人なら、悲しいかな一度ならず見聞している事実ではあります。

そんなゴミで溢れかえる摩文仁の "惨状" に心を痛め、聖地である摩文仁からゴミをすべて撤去したいと願っていたのが、他ならぬ金光教那覇教会の林先生でした。

平成12年の金光教沖縄遺骨収集奉仕活動の時には、糸満市清掃局と連携・協力して、平和祈念公園内にある 「空華之塔」 付近から、大量の放置ゴミを搬出する作業を実施しましたが、その時は何とゴミの下から御遺骨が発見されたのです。そうした事実もあり、摩文仁に散在する放置ゴミの下には、まだ未収骨の御遺骨があるのではないかという期待が持たれているのです。

今回はタイトルに示されているとおり、糸満市清掃局の全面的なご協力の下、「摩文仁清掃奉仕」 と銘打って、摩文仁に放置されたゴミを大規模に撤去する事となりましたが、企画&実施は 「沖縄宗教者の会」 が主導しました。

「沖縄宗教者の会」 とは、沖縄県内の各宗教・宗派の15団体で構成する沖縄宗教者の会であり、各宗派それぞれの信仰や信条を尊重しつつ、相互にに協力しながら恒久真の平和を築かんとして、「沖縄から世界へひろげよう平和の祈り」をスローガンとして、沖縄県内各地で活動を展開しています。

「摩文仁清掃奉仕」の本番は、明日4月29日です。「沖縄宗教者の会」に所属する信者さんが、県内各地から300人前後の規模で、摩文仁に集う予定だそうです。

本日は、明日実施される「摩文仁清掃奉仕」での、「沖縄師範健児の塔」横の崖下に放置されているゴミの袋詰め・搬送、そして駐車場に待ち受けるゴミ清掃車への積み込みなど、一連の作業がスムーズに進行するように準備作業といて、崖上に電動クレーンを設置したり、ゴミの搬送路を検証したりする準備作業を行う予定となっているようです。

本日の準備作業は、天理教の 「災害救援ひのきしん隊」 が主体となって実施するという話ですから、サイト管理人も 「沖縄宗教者の会」 の広報担当として(^^;)、今日と明日の二日間、ゴミと格闘する人達を熱くリポートしたいと思います。

準備作業

遺骨収集の様子1

明日実施される「摩文仁清掃奉仕」 の準備作業は、天理教の「災害救援ひのきしん隊」の皆さんが主体となり、作業が進められます。作業開始にあたり、隊員に訓示する古堅宗康隊長です。

遺骨収集の様子2

天理教の本部からも統括担当者が派遣され、災害救援ひのきしん隊隊員を前に訓示をされました。

遺骨収集の様子3

「天理教ひのきしん隊」と書かれた旗がありました。

「ひのきしん」とは、初めて聞く言葉だという方が多いと思います。 漢字だと「日の寄進」と書きますが、天理教では無償で、つまり手弁当でボランティア活動の一環として資金を提供したり、労働力を提供したり、つまり天理教が関わる無償の奉仕活動をする時に用いる言葉のようです。天理教のサイトに 「ひのきしん」 について、次のような説明文がありました。

【ひのきしん】

報恩感謝の発露。 毎日の暮らしをなにげなく送っている人はあんがい多いものです。朝、目がさめる、食事をする、勉強をする、家事をする、仕事をする、など当たり前のように感じていませんか。

実はこれらのことが出来る背景には親神の守護があるのです。一分一秒変わりない親神の守護が私たちの命を守っています。
また、人と仲良く暮らしていけるように、私たちの心づかいを正すという守護もしてくださっています。

これらの守護を土台に私たちの日常は成り立っているのです。そして、これらの守護には、人間みんなに陽気ぐらしをさせてやりたいという親心が込められているのです。
本当にありがたいことですね。ありがたいと感じたらお礼をさせていただきましょう。

お礼の基本は、相手の喜ぶことをするということですね。親神が一番喜ばれることは、私たちの心と身体を陽気ぐらしのために使うということです。
人のため、世の中のために私たちの心と身体を惜しみなく日々使わせてもらうことが親神へのお礼になるのです。これを「ひのきしん」といいます。

「ひのきしん」はいろいろな形でどこでも行うことができます。こんなことをしてみよう、あんなこともできるな、といろいろ考え、工夫するのに心をつかう、そして実行する。
こういう心と身体の使い方は実に楽しいものです。また、「ひのきしん」は老若男女を間わず、元気な人も、弱い人も、だれもができることなのです。

病気で入院していても回りの患者さんにちょっとした暖かい言葉をかけてあげることもできます。これも「ひのきしん」です。
「ひのきしん」は外に向かった心づかいと行いです。そこには自己中心的な心づかいはありません。

親神へのお礼のつもりでやっていることが、実は、知らず知らずの間に自分の心づかいを正すことになり、自分自身も本来の姿で陽気に暮らせるようになってくるのです。

神が喜ぶ、人が喜ぶ、そして自分も楽しい、これが「ひのきしん」の世界です。

「天理教」から転載させて頂きました

遺骨収集の様子4

まず最初に建築工事用の足場パイプを用いて、堆積するゴミの真上に電動クレーンを設置しようとしています。効率よく谷底からゴミをバケツ毎つり上げてしまおうという訳ですね。

遺骨収集の様子5

足場パイプ設置作業は崖上で作業しますからとても危険な作業です。作業慣れした人でないと出来ない仕事ですね。皆さんは 実に手際よく作業を進めていました。

遺骨収集の様子6

ゴミが堆積している場所から見るとこんな感じです。高いところの作業である事が解ると思います。

遺骨収集の様子7

電動クレーンの設置がほぼ完了しました。足場板を渡して完了です。強度的にも問題ないようです。

遺骨収集の様子8

谷底のゴミの様子です。

遺骨収集の様子9

谷底のゴミの様子です。

遺骨収集の様子10

圧倒的に健康ドリンクの瓶が多く、次に空き缶が多いのが解ります。

遺骨収集の様子11

圧倒的に健康ドリンクの瓶が多く、次に空き缶が多いのが解ります。

「空華之塔」崖下を調査

遺骨収集の様子12

金光教の林先生が平和祈念公園内にある「空華之塔」横からゴミが投げ捨てられた場所の案内をしました。

遺骨収集の様子13

摩文仁崖下のジャングルは植物が繁茂し、距離は50メートル余りだと思われるのにえらく時間が掛かります。

遺骨収集の様子14

途中落石現場のようなひどく破壊された場所がありました。

遺骨収集の様子15

巨大な岩が広範囲にわたって崩れ落ちています。

遺骨収集の様子16

上を見たらビックリです。広範囲の壁面が崩れ落ちています。ごく最近剥落したものと思われ、沖縄在住の松永さんは地震で崩れ落ちたのではないかと推測しました。

【地震速報】

2010年2月27日05時31分頃に沖縄本島近海で発生した地震について
報道発表日:平成22年2月27日
地震の概要と津波警報等の発表状況 発生日時 2月27日05時31分頃
マグニチュード 6.9(速報値)
場所および深さ 沖縄本島近海(那覇の東、約50km付近)、深さ約10km(速報値)
発震機構等 北東-南西方向に圧力軸を持つ横ずれ断層型 (速報値)

震度 【最大震度5弱】沖縄県糸満市(イトマンシ)で震度5弱を観測したほか、九州地方から沖縄県にかけて震度4~1を観測しました。 津波警報(津波) 27日05時33分に発表した津波警報は、06時30分に津波注意報に切り替えました。津波注意報 津波注意報は、27日07時00分にすべて解除しました。

「気象庁サイト」から転載させて頂きました

遺骨収集の様子17

「空華の塔」崖下のゴミの散乱状況です。

遺骨収集の様子18

「空華の塔」崖下のゴミの散乱状況です。

遺骨収集の様子19

「空華の塔」崖下のゴミの散乱状況です。

遺骨収集の様子20

「空華の塔」崖下のゴミの散乱状況です。

遺骨収集の様子21

ゴミを手でもって、ジャングル内をリレーして渡していくのは不可能に近く、ゴミを崖上につり上げられないか検討しているところです。

遺骨収集の様子22

上を見た状況です。ゴミバケツをクレーンでつり上げるというのも、かなり難しい状況であると解りました。

遺骨収集の様子23

途中のジャングル内もご覧のようにまんべんなくゴミが散乱しています。

遺骨収集の様子24

途中のジャングル内もご覧のようにまんべんなくゴミが散乱しています。公園内から崖下へ所かまわず投げ落としたようです。

遺骨収集の様子25

電動クレーンを用いた試験運転を実施しましたが、特段問題なく試運転に成功し、ゴミもつり上げました。

遺骨収集の様子26

「災害救援ひのきしん隊」の皆さんも整列して、作業終了を報告しました。明日は大勢の一般参加者も交えて、ここから大量の放置ゴミを搬出することになります。事故もなく無事に作業終了となる事を祈りたいですね。

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