平成24年(2012年)沖縄遺骨収集奉仕活動

1月28日(土) 遺骨収集事前調査・摩文仁清掃奉仕(準備作業)

今日は朝から晴れ間が広がり、雨の心配はいらないという絶好の日和となりました。(^o^)

本日はタイトル通り、午前は2月18日(土)・19日(日)に予定されている金光教の遺骨収集奉仕活動のための事前調査として、林先生と有志である一般の金城さんという方と私の三人で実施されます。そして午後は沖縄宗教者の会が主催する 「摩文仁清掃奉仕活動」 の準備作業が予定されています。どちらも重要でとても大切な作業ですから、しっかり対応する予定ですよ。(^o^)

遺骨収集事前調査

林先生によりますと、本日の調査予定地である与座については金光教の遺骨収集奉仕活動でも何度か入りましたが、以前から特に気になっている場所でもあるという話です。といいますのも、与座のライン、すなわち大里・与座・八重瀬・新城の丘陵は、摩文仁防衛の最後のラインであり、最後の頑健な抵抗ラインでもありました。

それだけに、この防衛ライン上でかなりの戦闘が繰り広げられましたが、南部に避難する民間人も首里からの戦場の南下に伴い南部へ南部へと逃避行を続けたわけですが、与座周辺では与座と八重瀬の間の比較的緩やかな丘陵を上りながら南部に逃れたという話です。ですから、与座高台の東側あたりは、民間人の戦死者も多いのではないかという話でした。そこで本日は与座の高台の崖付近、そして付随する東側丘陵部を調査してみようという訳です。

事前調査の様子

事前調査の様子1

県道7号線沿線の糸満市大里から与座岳(標高168m)方面を見ています。航空自衛隊与座岳分屯基地にあるレーダーサイトの白っぽい建物が大きくて良い目標になりますね。写真撮影地からレーダーサイトまでは概ね1.5kmぐらいの距離があります。

事前調査の様子2

沖縄の赤瓦を用いた伝統的な屋根に、太陽光発電パネルが設置されているのが、とても印象的でしたから撮影してみました。沖縄でも最近よく見かける風景となっていますね。

事前調査の様子3

集落を徒歩で進んでいますと、バナナの木がありました。バナナの果実もしっかりぶら下がっており、今年の夏あたりが収穫適期なのでしょうかね。(^o^)

事前調査の様子4

いわゆる半鐘ですね。沖縄では各集落でよく見かけます。米軍占領時は、米兵によるレイプも頻発しましたから、米軍兵士が部落に近づいてきたら、半鐘を鳴らして女性などは家の中に入るように促したという話が伝わっています。

事前調査の様子5

例年と比べ何か変ですよ。今年の沖縄ではサトウキビが不作だそうです。昨年来の天候不順からくる日照不足や低温、そして昨年の台風直撃などの影響により、沖縄県のサトウキビは本土復帰後最悪ともいわれる不作だそうです。

2011年度の黒糖の生産量は、前年度と比べ、4割近く減少しているといわれます。黒糖の国内自給率は50%弱。そのうち沖縄県産が占める割合は9割程度です。沖縄県産黒砂糖の記録的な不作の影響は大きく、卸各社はすでに1割程度の値上げをしているそうです。今年も引き続き、かりんとうなどのお菓子や調味料の値段が上がる可能性があると言われています。

写真のサトウキビの山は出荷する為に山積みしているのでは無く、出荷規格に沿わない短い茎を廃棄するために山積みにしているものだと思えます。

事前調査の様子6

【平成21年2月21日撮影】
こちらは出荷する為に道路際に集められたキビの山です。茎がかなり長いのが見てとれます。こちらが出荷に耐えうる正常のキビ茎という事になりますね。

事前調査の様子7

写真中央付近の縦長の樹林帯は斜面になっている部分です。大里・与座・八重瀬・新城と連綿とと続く摩文仁防衛の最後の丘陵であるのが見てとれますね。

事前調査の様子8

その丘陵ライン沿いに近づいて参りました。レーダーサイトも大きくなってきました。

事前調査の様子9

これはサツマイモ畑です。蔓が繁茂しているものの、ご覧のように害虫の集中攻撃を受け、葉が完璧に虫食い状態ですね~。(^^;)

事前調査の様子10

こちらはジャガイモ畑です。立派に育ちましたね。すでに収穫作業を開始しているようです。

事前調査の様子11

ジャガイモ畑で作業している人が居ましたから、林先生が情報収集のために話をしに向かいました。遺骨収集に関わる話は特に知らないという話でした。

事前調査の様子12

昔は車が通ったであろう道路を歩いています。少しずつ目的地に近づきつつあります。

事前調査の様子13

いよいよ道無き道を歩みつつあります。農家の畑と思われる場所は避けて進みます。

事前調査の様子14

丘陵の付け根に到達しました。レーダーサイトも大きくなりました。さあここからいよいよジャングルに入ります。有用な成果が得られますように。そして事故も無く無事な下山を祈りたいですね。

事前調査の様子15

概ね30メートルぐらい斜面を登ったでしょうか。一番高い位置であろう標高168mの三角点に到達しました。斜面の勾配が最後の部分ではかなりきつく安全性に懸念があったので、私のみ三角点を目指しました。私が四方を見渡し情報を得て林先生に報告することになりました。
西側はフェンスが張られ自衛隊基地であるのが明瞭でしたし、レーダーサイトも間近に見られ大きな白い建物を撮影しました。撮影箇所は柵外であり合法である事は間違いありませんが、しかしながら軍事機密であるレーダーサイトを当サイトで露出させるのは問題があると思われますから、間近で見るレーダーサイトの写真は公開しないことにしました。

事前調査の様子16

三角点から北東側を見ています。採石場が写真中央を左側から右側まで写されています。採石場の奥には県道15号線が通っています。手前側は広大な樹林帯が広がっているのが見えます。樹林帯は緩やかな勾配があり、畑にはできなかった部分だと思われますから、沖縄戦当時もやはり樹林は焼き払われたと思われますが、緩やかな丘陵が展開していたものと推測されます。写真右側に神社の鳥居が見えますが、ちょっと解りにくいですね。この樹林帯の右半分ぐらいは神社敷地になっていると林先生が語っていました。

事前調査の様子17

神社の鳥居を拡大してみました。社はここから見た限りでは見当たりません。林先生によりますと、この与座岳山上付近に、神社の重要な祠があるそうです。その祠は今のところ付近には見当たりませんから、少し離れた場所にあるのかもしれません。

事前調査の様子18

那覇市内方面を展望しています。与座岳から那覇市内県庁付近までは概ね8kmあります。思いの外近いというのが第一印象です。米軍による首里方面への集中攻撃が、ここからもよく見えたのかもしれませんね。

事前調査の様子19

望遠側で那覇市内方面を展望しています。市街が大きく見えていますが、更に強力な望遠なら、首里や那覇市内に様子がかなり詳細に見える印象です。この印象からも那覇と摩文仁は思いの外近いというのが実感できますね。

事前調査の様子20

与座岳に近づく段階のジャングル内の様子です。調査と言えでも遺骨や遺品を探そうという意図もありますから、全体的にゆっくりとジャングルの歩みを進めます。

事前調査の様子21

与座岳北側には構築された日本軍の陣地壕がたくさんあると言われていますが、この付近では崖元付近には壕はありませんでした。

摩文仁清掃奉仕(準備作業)

沖縄本島最南端にある 「摩文仁」 は、沖縄戦の最後の激戦地であり、また沖縄県民を巻き込んだ一方的で悲惨な掃討戦が繰り広げられた地でもあります。恒久平和を願う人々の聖地といえるこの摩文仁が、遺骨収集をした経験のある方なら、ごみに埋もれた摩文仁ジャングルであるというのもまた、疑いのない事実として知る事となるのです。

そんなゴミで溢れかえる摩文仁の "惨状" に心を痛め、聖地である摩文仁からゴミをすべて撤去したいと願っていたのが、他ならぬ金光教那覇教会の林先生でした。金光教の遺骨収集では、摩文仁のゴミ山の下からご遺骨が発見されたこともあり、摩文仁に打ち捨てられているゴミ山を前に、そのゴミの膨大さに頭を抱えていましたが、沖縄宗教者の会が協力してゴミを運び出す運びとなり、ゴミ清掃奉仕活動は一気に進展する運びとなったのです。

沖縄宗教者の会が主催する摩文仁清掃奉仕は、今年が6回目です。各教団の信奉者の方かだの参加を得て、着実に摩文仁からゴミ山が姿を消そうとしています。もちろん摩文仁から完全にゴミを撤去し終えるのは、まだ数年先となりそうですが、何事も継続が大切という点を皆様が心得ており、思いはひとつという印象も強いですから、将来いつの日かきっと摩文仁からゴミが消える日が訪れると思わずにはいられません。(^o^)

本日の準備作業は、昨年同様天理教の「災害救援ひのきしん隊」が主体となって、資機材の搬入設置、および滑車等の固定などを実施する手はずとなっていますから、サイト管理人も 「沖縄宗教者の会」 の広報担当として、今日と明日の二日間、摩文仁の放置ゴミ追放作戦を熱くリポートしたいと思います。(^o^)

摩文仁清掃奉仕(準備作業)の様子

準備作業の様子22

当サイトでも何度も登場する「沖縄師範健児之塔」です。沖縄県師範学校の野田貞雄校長以下職員19名と生徒285人が祀られています。

準備作業の様子23

写真中央は「平和の像」です。守備軍管理部の壕の上に像は建てられており、右側から友情、師弟愛、永遠の平和を象徴的に表現したとされています。

準備作業の様子24

ぎりぎり読めますね。

準備作業の様子25

ぎりぎり読めますね。

準備作業の様子26

今年か、今年が無理なら来年ゴミ出しを実施する予定の新しい壕を調査しました。松永さんが壕に降りたところです。

準備作業の様子27

ご覧のようにドリンクビンの山のように積まれています。ビンの山はピラミッド型をしていますから、底辺部分のボリュームは驚くほどの量となるでしょう。

準備作業の様子28

毎年素晴らしい機動力を見せてくれる天理教「災害救援ひのきしん隊」の皆様です。毎年式次第に沿って開会式と閉会式が執り行われています。写真一番右側の方が、ひのきしん隊隊長の古堅宗康さんです。

準備作業の様子29

ゴミを運び上げるための滑車の設置作業がはじまりました。

準備作業の様子30

皆さんが手慣れたもので、驚くほど短時間に複数本のパイプを渡し、滑車を固定するなどしたあと、テスト作業に行っていました。一連の設置作業、早かったですよ~。

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